低用量ピルについて気になることは処方医or産婦人科医に聞きましょう!
こんにちは。てんしちゃんです。
今日はピル(低容量ピル/経口避妊薬)について書きます。
わたし自身ピルユーザーです。最近だとオンライン処方もよく見かけます。入手のハードルが低くなったので、ピルについて詳しく知ろう!の会。
今回の記事は低用量ピルのガイドラインを参考にして簡単にまとめたものです。元のガイドラインを参照したい方はこちらhttp://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf
もくじ
低用量ピルとは
低用量ピルには二種類あります。
経口避妊薬(OC)と低用量エストロゲン・プロゲステロン製剤(LEP)です。
歴史としては、経口避妊薬がまず作られました。そこで避妊効果だけではなく、月経困難症の改善等の副効用が発見されたため、薬として開発されたのが低用量エストロゲン・プロゲステロン製剤、のようです。
つまり、
避妊目的の保険適用外処方→経口避妊薬
月経困難症など治療目的(保険適用)→低用量エストロゲン・プロゲステロン製剤
という風に区別されます。
低用量ピルのメリットは?
避妊効果のほか、以下の効果があるといわれています。
- 骨粗しょう症の予防
- 月経周期を整える、月経困難症の改善
- 子宮内膜症の減少
- 卵巣がん、内膜癌の減少
- 血管運動神経障害の軽減
- 大腸がんの減少
- 関節リウマチ発症の減少
避妊だけじゃなくて副効用もいろいろあるのがピルの特徴。あとはニキビに効く?とも言われていたり…します。
低用量ピルの飲み方
月経1日目〜5日目までに内服開始する(1日目が望ましい)。
卵胞が大きくなってからピルを内服しても排卵は抑制できません。という訳で、卵胞径の小さい月経周期1日目に内服するのが無難です。一応、WHOの指針としては月経周期5日目までに開始した場合は追加の避妊は要らない、ということになっています。
多いものから順に、
吐き気や嘔吐(1.2~29.2%)
頭痛・片頭痛(3.4~15.7%)
乳房緊満感(0.1~20%)
おそらく避妊効果はあるが、避妊目的なら避妊用のピル(経口避妊薬)を使用する方が無難(そりゃそう)
これ気になって調べてみました。保険適用のピルは、避妊用で処方されるピル(トリキュラー、マーベロンなど)と比較して、エストロゲン量が少なく、超低用量ピルと呼ぶこともあります。
保険適用のピルにも当然、排卵抑制効果はあります(よって副作用の記載には不妊があります)。が、避妊目的なら経口避妊薬を内服する方が無難な気がします。上記で述べたように、開発の経緯上あくまで「避妊目的ではない/治療用の薬」なので、保険適用のピルに関して、実際の避妊効果はわかりませんでした。
1錠忘れた→忘れた分をすぐに飲む
2錠以上忘れた→直近の分をすぐに飲み、残りを予定通りのむ+7錠以上連続して内服するまでは他の避妊を用いる
1錠忘れた→通常必要なし
2錠以上忘れた→ピルの何週目での飲み忘れかによる
2錠以上のみわすれた!とき
1週目での飲み忘れ→休薬期間、または第1週に性交渉をおこなったときは緊急避妊を検討する
2週目での飲み忘れ→直前7日間に連続して服用していた場合は緊急避妊は不要
3週目での飲み忘れ→偽薬は飲まずに、実薬を飲んだら(つまり21日目までのんだら)すぐ次のシートをはじめる
低用量ピルの危険性は?
副作用としてリスクが上昇するもの
- 静脈血栓症
- 脳卒中、脳梗塞
- 心筋梗塞
- 乳がん
- 悪性黒色腫
- 浸潤性子宮頸がん
副作用として上記があります。そのため副作用リスクが高い人はピルの服用禁忌、または慎重投与と位置付けられています。
低用量ピルの禁忌と併用薬について
- ピルにアレルギーのあるひと
- 乳がんのひと
- 異常性器出血のあるひと
- 血栓症、冠動脈疾患の既往があるひと
- 35歳以上の喫煙者
- 前兆を伴う片頭痛のあるひと
- 心臓弁膜症のひと
- 糖尿病のひと(網膜症や腎症を合併している場合)
- 血栓素因のあるひと
- 抗リン脂質抗体症候群のひと
- 手術前、術後のひと
- 肝障害のあるひと
- 高血圧のあるひと(収縮期160mmHg以上)
- 耳硬化症のひと
- 妊娠中に黄疸、妊娠ヘルペスの既往のあるひと
- 授乳中のひと
- 妊娠しているひと
- 脂質異常症のあるひと
上記のひとには原則処方できません。
が、ライフスタイルの改善により服用禁忌→慎重投与になれば処方できる可能性があります!!
- 40歳以上のひと
- 乳がんの既往があり、5年以上再発のないひと
- 乳がんの家族歴のあるひと
- 喫煙者
- 肥満のひと(BMI30以上)
- 血栓症の家族歴のあるひと
- 前兆の伴わない片頭痛のあるひと
- 心臓弁膜症のひと(合併症なし)
- 高血圧のひと(収縮期140-150程度)
- 糖尿病のひと
- ポルフィリン症のひと
- 肝障害のあるひと
- 心疾患・腎疾患のあるひと
- てんかんのあるひと
- テタニーのあるひと
- 子宮頸がんのひと
- 脂質代謝異常のあるひと
- クローン病、潰瘍性大腸炎のひと
- 子宮筋腫のあるひと
慎重投与のひとは上記です。
服用禁忌例よりは当然基準は緩いですが、血液検査や体重測定、血圧測定、必要時に超音波検査…などなどで処方したほうがよいか、やめたほうがいいかを判断する必要があります。この場合、ピルを内服したほうがいいかどうかは、その人の疾患の程度にもよるので、お近くの産婦人科受診しましょう!
抗てんかん薬→薬の効果とピルの効果が弱くなる可能性あり
抗結核薬→ピルの効果が弱くなる可能性あり
HIV治療薬→ピルの効果が弱くなる可能性あり
三環系抗うつ薬(イミプラミンなど)→薬の効果が強くなる可能性あり
アセトアミノフェン(カロナールⓇなど)→薬の効果が弱くなる可能性あり
上記薬を服用中の方は、薬剤の量を調整する必要があるかもしれないので、まずは処方してもらっている先生にピルについて聞くことをオススメします。
また、ピル服用中は痛み止めとしてアセトアミノフェンよりも、NSAIDS(市販薬でいうイブなど)のほうが飲み合わせ的には良さそうです。
ちなみに抗菌薬は特に問題なく併用OKとのこと。
深部静脈血栓症について
低用量ピルを服用する上で知っておかなければならない副作用といえば、深部静脈血栓症(VTE)です。
ピルを服用すると服用していない人とくらべてリスクが高くなります。
とはいえ、ピルを服用している10000人中3~9人の発症率ではありますが…。
激しい腹痛
激しい胸痛、息苦しさ、押しつぶされるような痛み
激しい頭痛
視野が狭い、失神、舌のもつれ、けいれん、意識障害
ふくらはぎの痛み、握ると痛い
ピル内服中に上記症状を認めた場合、医療機関を受診してください。
その場合、低用量ピルを内服中であることは必ず伝えましょう。
そのほかピルの疑問あれこれ
服用7日後といわれる。
避妊効果を確実にするためには月経初日からのみましょう。
ピルを中止したあとの妊娠のしやすさに影響はない。
ピルを中止した後の妊孕性に関しては、通常の群と変わりないというデータがあります。ピル中止後1年以内に妊娠できた率は84~88%程度のようです。
また、ピルを飲む期間が長いからといって、中止後妊娠しにくくなる、といったこともなさそうです。
3か月以内に90%で排卵が再開します
1相性製剤、2相性製剤、3相性製剤ともにピル服用中止後90日以上生理がこなかったのは約8%前後。つまり90%以上の人は、3か月以内に生理がきます。もし中止したのに月経がこないときは、妊娠検査を行いましょう。
尋常性ざ瘡(ニキビ)を改善するとされるが、アダパレンや抗菌薬が第一選択であり、ピルは保険適用ではない
ピルに関しては、プラセボ群と比較してニキビを改善したというデータはあります。ただ血栓や不妊のリスクを考えると、「ニキビ治療のためだけ」にピルを処方するのは現時点では推奨はされないようです。
正しく服用するとメリットも多い低用量ピル。きになるかたは産婦人科に受診してみるといいかも。