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わたしがマイナー科志望をやめた理由

こんにちは。

てんしちゃんです。

4月から内科専攻医の生活が始まりました。

新しい日々は毎日わからないことだらけです。そんな中でもある程度ゆったりした時間を持ちながら、勉強に勤しんでおります。

さてさて。

ひとまず自分の進路について書いてみようとおもいます。

落書き帳みたいなものなので…、特定の診療科を批判したり持ち上げたりするつもりはないですし、あくまでわたしの選んだ基準と思うところを書きます。

ずーっとあるマイナー科と内科で迷っていたので、

なぜマイナー科にしなかったかという消極的な理由を書きます。

気分を害されたらすみません。

前提として、わたしは医者になりたくて医者になったわけではなく、資格職として医師になった身で、この分野を極めたいとかいう野心がないクズです一言でいうと。

なので進路を考える時も興味分野だけじゃなくて今後の生活とか色々かんがえてきめました。

最初はマイナー科(皮膚科)志望だった

大学5年生頃から研修医2年目の頭まで、ずっと皮膚科医になろうと思ってました。

理由は診療科として面白そう、妊娠出産しても働きやすそうだったからです。

あともともと美容に興味があって、皮膚科専門医から美容皮膚科医のキャリアを描いていました。

このころはハイパーに働こうと思っていたので、QOL基準ではなく、どちらかというと興味の軸でそう考えていました。

ぶっちゃけ他の診療科に興味がありませんでした。

わたしが思う皮膚科のいいところ

外来患者が多い

クリニックでも需要があるところがポイントで、皮膚疾患はそもそもの罹患率が高い。

小児から高齢者まで幅広い年齢層を診ることができて、高齢化社会でも需要はどんどん増えるかと思います。

女医が多い

皮膚科の圧倒的女医率。

一般に医師という職業の中で女医という属性がマイナスになりにくいのは皮膚科と産婦人科だと個人的には思ってます(対患者さんにおいて)。

急変や呼び出しも少ないので家庭との両立もしやすそうなイメージ。

サブスペが幅広い

もともと外科系とされる皮膚科ですが、内科的疾患も幅広く診ることができたり、とにかく専門医取得後もできることが多いイメージです。

大病院〜地域のクリニック、美容系まで網羅していて開業の選択肢もあるのは強い。

わたしはもともと内科系疾患(膠原病など)も好きだったので、そのへんも網羅できるのが良いなと思いました。

経験が必要

皮疹を診て診断するというプロセスには経験が必要だと思うんですよね。

もともとの地頭が良いに越したことはないですが、それ以上に、個人の経験値が重要な診療科かなと思っています。

自分の力量が診断能力にそのまま反映されるのは分かりやすいですし、やりがいがありそうだと思っていました。

…とまあこんなところを考えていました。

結構確固たる理由で皮膚科医志望でした。

でした(過去形)。

皮膚科志望をやめてしまった理由

一言でいうと、

わたしの興味の度合いと、生活基盤を天秤にかけました。

詳しく言うと、

その待遇で勤務するにはわたしの熱量が足りなかった。

という感じです。

大学医局に属したくなかった

わたしは地方出身なので、大学医局に所属してそこのメインストリームに乗れる気がそもそもしなかった。

働き方や自分の経験値を鑑みると、地元の医局に戻る気はさらさらなかったので、都会の大学病院を探していましたが…。

初期研修医より給与は低くなる上、直前まで勤務地がどこになるかわからない、都心となると家賃も高い、などなど、わたしにとってデメリットが多すぎました。みんな生活費とかどうしているんだろう?

医局派遣で市中病院勤務になると待遇面に関しては安定はしていそうですが、それすらわからない、大学病院の給与や労働条件なんて詳しく聞けないし…ていう感じでした。

専門医の取得も維持も厳しそう

わたしが学生時代のとき、旧制度では「初期研修期間も年数×1/2として算定する」という制度がありました。新制度になって無くなり、専門医取得まで5年を要することになりました。5年間、大学の医局人事で動かないといけないのか…。という感じ。

また維持するのも大変かなとおもいました。1番楽な方法で、「5年間のうち7回は学会発表(筆頭or2nd)必須」だし、まあでも普通病院勤務してたらこれくらいできるのかもわかんないけど。皮膚科専攻医の友人に聞いてみたら「発表のハードルが低いから難なくできるよ」とのことでした。ほんとかなあ…。

内科のメリットを感じた理由

そんなわけあって卒業時は100:0の熱量で皮膚科一択だったのが、色々考えていくうちに60:40で皮膚科、くらいになりました。

そんなときにいまの診療科を選択して内科に行こうと思ったわけですが、決めた理由をつらつらと書きます。

初期研修先のプログラムに残れる(市中)

これが1番大きかったです。ある程度の自分の所在地がわかる、というか。

1年間は外病院に行かないといけませんが、それも個人の希望を汲んでくれるし、専門医取得後も常勤勤務の道がある。

もちろん他に入局するなり、転職するなりしてもいい。

大学に身を置くよりも自由度が高いなと思いました。

入局したくなったらプログラム後に決めればいいし。

あと内科のデメリットとして新専門医制度で他科をローテーションしなきゃいけないなどといわれてますが、当院は症例さえ集まっていれば他科ローテ不要なのでそれは恵まれていると思いました。

なんやかんや言われているjoslerも要件だけみたら全然厳しくなさそうだし。(面倒くさいはあるだろうけど)

人間関係が良好

初期研修先である程度知ってたので、人間関係が安定してるところも気に入ってます。

これは持論なのですが、人生のストレスって人間関係が9割だと思っています。なのでその心配がないのはとてもいいなあとおもいました。

専門医維持が厳しくない

学会参加で更新できるし。

あと内科持っておけば色々できるかなあと思いました。サブスペでメジャー内科ではないのでちょっとマイナー気質ありつつ、でも基本は内科医なので広く飽きないかなって感じです。

求人多め

まあバイトとかしたくなったときに色々できるのはいいかなと思いました。

マイナー科に比べると時給は低いかもしれませんが、当直系のバイトでの心配も特にないので。

あとはわたしの地元が首都圏ではないので、もし地元に戻るってなった場合の就職先にも困らないかなと思いました。

内科医になることを決意

そんなこんなで、2年目の7月に内科専攻医として初期研修の病院に残ることを決めました。実は皮膚科の方も内定は頂いてたのですが、結果的にお断りしてしまいました。

専攻医になって半年は経ちましたが、今のところはぜんぜん後悔ありません。

むしろ毎日楽しく、刺激をもって生きています。

joslerは確かにめんどくさいけど研修医EPOCもめんどくさかったしなあ…多分なんとかなるでしょ…と思ってます。

いまやってる診療科の魅力とかはまた別の折に書けたらいいなー。

おわりに

医師という仕事は、自分のやりたいことをある程度は決められる職業だとおもっています。

同じ診療科でも地域や病院によって雰囲気が全然違うと思うので、自分に合ったところを探すのも大事かなとおもいました!

興味や仕事に対する熱意や家庭の事情は個人それぞれなので、わたしの話は参考程度で。ですが、もし進路に迷っているのであれば、いろいろな人の話を聞いてみるのがオススメです。