お医者さんの雑記ブログ 詳しくみる

女性は医師に向いていないのか?という話。

こんにちは。てんしちゃんです。

某大学の不正入試事件で、女子受験生が不利になっていた不祥事がありましたが、

医師を対象にしたアンケートでは、5割以上が「必要悪」であるとの回答でした。

そもそも医師は男性の仕事なのか?女性は向いていないのか?

を個人の見解で述べます。あくまで個人の見解です。自分勝手に書きます。

結論:女性は医師に向かない、理由は生物学的なライフイベントのため

はじめに身も蓋もないですが、

向き不向きでいうと、女性は医師に向かないと思います。

なぜなら医師の働き方と、女性のライフステージ(出産、育児など)が沿わないからです。それは当然です。

大学6年制+初期研修2年間の制度も相まって、女医の場合は、結婚出産の適齢期が仕事の成長期と被ってしまいます。

「専門医をとって落ち着いてから…」など悠長にいっているともう30歳です。

医師に限らず、キャリア女性は同様の悩みをもつものだと思います。たとえ旦那が専業主夫であったとしても、子供を産むためには、女性が一旦休職しなければならないのです。必ず休まなければならないです。必ずです。妊娠出産で精神的身体的なダメージも受けますし、ブランクも含めて多かれ少なかれ本業に影響を及ぼすと思います。

「男性医師は仕事に影響なく子供ができていいな…」「男だったらもっと仕事が評価されたかもしれない…」は、一度は思ったことがあるかもしれません。

そういう点では、女性は医師には向いてないです。

男女同等に働くには

男性医師と女性医師で能力差はほとんどないとします。医師国家試験や大学の進級試験なんか思い出してみても男女差はありません。(学力=医者の能力ではありませんが、一種の指標として)。

個人的には性別で需要の差や向き不向きはあると思っている派なんだけど、面倒なのでここでは考えないことにするよ

つまり前述の結論を言い換えると、女性のライフステージが問題にならなければ、医師の向き不向きに男女関係ない、と思います。

じゃあどうすれば「女性のライフステージが問題にならない」のか?を考えてみました。

①女性のライフステージを男性とおなじようにする

つまり、「わたしは一生子供を産みません」とする。

子供を産む産まない結婚するしないはもちろん個人の自由ですし、「わたしは子供なんていらない、仕事がライフワーク」っていう女医も当然いるとおもいます。が、それをすべての女性に強制するものではありません。したがって、この案は不可能です。

あるいは、つい最近バリキャリ女性の発言で炎上した「代理母を使う」というのもこの発想だと思われますが、当然現実的ではありません。

②ブランク自体が問題にならないようにする

ブランク自体がキャリアに影響なければ、育休・産休がマイナスにならないため、女性が男性と同等に働けると考えます。

前述の①は現実的じゃないので、②をメインに考えていきたいとおもいます。

なぜブランクが問題になるのか?

人手不足だから

そもそもなぜブランクがキャリアに影響するのか?

ひとつは「人手不足によるハードワーク」です。休みづらいってことです。

もし人手が豊富であれば、自分が休む影響を最小限にすることができます。

しかし、男性医師⇒休まない、女性医師⇒休む、だと男女同等になりません。なぜならこの場合キャリア(自分の経験値・職場への貢献度)に男女差が生まれてしまうからです。私が考える理想郷は、男女ともに休める職場です。たとえばの話、みんな半年だけ働き、みんな残り半年は休む、という体制の職場が存在するならば、産休などの休暇が問題になることはないのでは?まあ極論に過ぎないですが…。

「女性に優しい職場は男性に優しい職場」というフレーズがありますが、「休みやすい」という意味だとおもいます。

それを実現するためには、どうしても人手は必要です。当たり前ですが。

制度上の問題

なぜブランクがキャリア形成の上で問題になるのか、もう一つは「(専門医)制度上の問題」です。

現在大多数の医師のロードマップは、初期研修2年間⇒後期研修数年間⇒専門医取得⇒臨床or大学院で研究or開業etc…が一般的、というか大多数かなとおもいます。

要するに単位を集めて専門医試験を受けるため、制度的には「大学」みたいなものです。妊娠出産でキャリアが途絶えると「休学」扱いになり、留年します。

その結果、卒業を諦めるパターン(専門医を取らない)も続出です。

現実的には職場を選ぶしかない

人手不足も制度上の問題も、解決できることじゃありません。というかどうにもならないと思います。

この問題がある以上、やっぱり女性は医師に向いていないという話にはなるし、大学入試差別も「必要悪」だというのも個人的には理解できてしまう。

じゃあ一体女性はどうしたらいいのか…。

という話で、

まあいわゆるバイト医でパートタイム生活も当然あり、ですが

上記のようなキャリア(専門医とって大学院いって部長になり…)を目指す場合、やはりブランクが空いても問題ない職場で勤務するのがベストかなとおもいます。

診療科選びは大事

真剣にライフプランを考えたうえで、医師としてのキャリアを考えると診療科えらびは大事だと思います。なんだかんだ。

なぜなら診療科によって、働き方に差がでる部分が結構多いからです。

診療科によって働き方に差が出る部分(例)
  • 当直の有無と種類
  • オンコールの有無
  • 休日出勤の有無
  • 外来やコンサルトの多さ
  • 時間外労働の多さ
  • 日中の忙しさ
  • 専門医取得後のキャリア
  • 開業のしやすさ
  • クリニック勤務のしやすさ

わたし自身は結局何科を専門にしても、医師免許さえあれば、働き方にはいくらでも融通が利くと思っています。融通の利く場所を選べばいいので。

ですが専門医取得を目指して大学病院勤務or総合病院勤務が長期間つづくことを考えると、大きな組織の中に所属することになるのであまり自由は利きません。

個人によって向き不向きはありますが、興味の軸のほかにQOLの軸をもって診療科を選ぶことも大事かなと。

女医向きの診療科?

いままで考えたことをまとめると、人手が少なくてもダメージが少なく(代わりの人がいる)、かつブランクの影響が少ない診療科がいいということになります。

もちろんそれ以外も考えるポイントはあるけど(定時で帰れるか、呼び出しがあるか、など)。

人手が少なくてもダメージが少ない科なんてないよ!って感じですが、一般的に言われているのは病棟フリーの科がそれにあたるかなと思います。主治医にならなければ「●●さんがいないと絶対にだめ!」っていう状況を減らせると思うので。

病棟フリーの科の例 → 麻酔科、放射線科、病理、救急科ER

志望人数のおおい診療科も人手があるのでいいかもしれません。呼び出しやオンコールがある診療科でも負担が減るので。ただ人数多いと変わりはいくらでもいるので、個人が大事にされないのと天秤って感じですかね(そこは医局や病院の雰囲気によるかも)。

またブランクの影響がすくないところでいうと、外科系よりは内科系診療科なのかなと思います。かつ、知識のアップデートが比較的頻回に要らない科。

そう考えると血液内科は女医向きとはいえないなあ(ブーメラン)

診療科に関しては個人の特性もあるので一概に〇〇科がおすすめ!一択!とはいえません。いくらQOLがよくても興味がない仕事はつらいと思う人もいるだろうし、あるいは興味がなくてもプライベートさえ充実していれば問題ないひともいるだろうし。

あくまで診療科を決めていない前提での診療科選びの話してきましたが、もし志望科を決めていて、働く場所も決めている人の場合は、医局選びが大事だと思います。(これも同じ診療科でも結構待遇に差がでたりするので)。

おわりに

女性医師として生きることについて個人的な意見を述べてみました。

ただの書き散らしなので異論は認める。

おしまい。